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神戸経済ニュース

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(解説)にぎわう新長田いつ? 県市合同の「最終兵器」は実るか

 神戸市は14日で新長田の再開発ビルに入居する「KOBE三国志ガーデン」(長田区)を閉館し、展示物を近隣のKOBE鉄人三国志ギャラリー(同)などに移転すると発表した。三国志ガーデンは2011年12月にオープン。三国志演義に関するジオラマなどを展示する。新長田地区の再開発の一環で開業当初こそ月間3000人程度を集客したが、客数の低迷を受けて閉館を決めたという。商店街や市場がひしめく新長田は、神戸市で唯一、1995年に発生した阪神淡路大震災の震災復興を目的とした再開発が続く地域だ。(写真は長田区の大正筋商店街に面した「KOBE三国志ガーデン」入口)

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  同じく再開発事業の一環として15年3月に開業した神戸アニメストリート。ネット放送のスタジオや物販店舗などアニメ関連施設を並べて配置した。神戸アニメストリート社長の岸建介さんが開業以来腐心するのは「集客の努力を続けること」だと話す。アニメソング専門のディスクジョッキーが曲をかける主力店舗のアニソンカフェ「SIDE28」では、アニメの権利を持つ企業や作家と話を付けて全国的にも珍しい「公式」で展開。取り上げるアニメ作品を工夫することなどで、「来場者のおよそ半分は県外から」(岸さん)という状況がオープンから1年以上経過した現在も続く。

 新長田の将来像を「秋葉原というよりは中野ブロードウェイのようなイメージだろうか」と岸さんは想像している。東京都中野区の商業ビル「中野ブロードウェイ」には衣料品、食品スーパー、家電、雑貨など多様な店舗が入居する一方、アニメ関連の書店やグッズ店なども多く、秋葉原に次ぐオタク文化の集積地。JR中野駅の北口から同ビルまでは地元の商店街を抜け、右側の路地にそれると下町の飲食店街が広がる。確かにケミカルシューズの街でもあり、下町グルメの街でもある新長田の印象に近い。

 地元のNPO非営利組織)の取り組みで2009年に完成した高さ15.6メートルの“実物大”鉄人28号像も、三国志ガーデンのジオラマも、初期費用として巨額の資金を投入しただけあって、当初は集客に威力を発揮した。ただ、時間がたつにつれて物珍しさは薄れていく。リピーターを増やすには、二の矢、三の矢に留まらない、継続したリニューアルが必要だ。さらに鉄人や三国志だけではなく、新長田の街自体の魅力で人を呼べるようになることが、その先にはある。(下の写真は鉄人28号をデザインした商店街のゲート=神戸市長田区)

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 「何もなくても出かけてみよか、という街になってほしい」「そのために少なくとも今の3倍の人を呼んでこなくては……」とも岸さんは話す。人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」などを製作し、岸さんが誘致したアニメ制作会社ガイナックス(東京都三鷹市)は2年後をメドに、神戸・新長田に設立した子会社で新たなアニメ作品の完成を目指す。人が集まるきっかけは増えつつある。これらに続いて新長田に店を開きたいと思う人が増えるかどうか。

 神戸市は、この地区のほぼ中心である神戸市長田区二葉町に新庁舎を建設。神戸市と兵庫県が税務部門と住宅供給公社を集約する。新庁舎建設は神戸市が繰り出した「最終兵器」だ。兵庫県と神戸市は合同庁舎に勤務する職員で、周辺の昼間の人口が約1000人増えるとみている。さらに手続きなどで庁舎を来訪する人なども増えそうだ。昼食の需要だけみても新長田の商店街には追い風だろう。

 関係者によると三国志ガーデンの跡地には、神戸市との合同庁舎に入居する兵庫県の税務事務所の準備室が入居を検討しているという。新長田の活性化は県市が掲げた次の一手に向けて既に動き出している。住居スペースの増加もあって、新長田地区の人口は震災前よりも増加した。あるいは震災前とはまた違った形で商店街のにぎわいが戻るまで、あと一歩かもしれない。 (神戸経済ニュース)

  

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