神戸市、「創生戦略」の素案公表 市民の意見募集
神戸市は30日、国が主導する地方創生の方針に基づいて自治体が策定する「創生戦略」の素案を公表した。10月13日まで公表した「戦略」についての意見を市民から募る。人口減・高齢化の対策として、(1)年間1万2000人の出生数維持(2)若者の東京圏への流出超過を現在の年2500人からゼロにする--の2点を目標に掲げた。目標達成のために雇用創出や子育て支援などを進める方針をあらためてまとめた。
現在152万人である神戸市の人口は、対策を講じなければ2040年に132万人、60年には107万人になるとの推計を示した。これを施策によってそれぞれ143万人、131万人程度になるように減少を食い止める。
人口減への対策事業のために、(1)安定した雇用創出(2)神戸に流入する人口の創出(3)結婚・出産・子育て支援(4)安全・安心のための地域連携--と4つの基本目標を掲げた。具体的には「医療産業都市」「都心・三宮再整備」「待機児童解消」「こうべ空き家活用促進事業」といった、神戸市が将来への投資的な施策として既に取り組んでいる100項目超の事業を、4つの目標ごとに分類した形だ。
神戸市では政府が「地方創生」を制度化した2014年以前にも、震災復興などの観点から人口減対策や市街地の活性化に取り組んできた経緯がある。このため「戦略」のために新たな施策を盛り込む必要性が乏しかったとみられる。神戸市が策定する創生戦略によって新たな交付金を国から得るきっかけになる可能性はあるが、現在の施策を概括する資料とも意義付けられそうだ。