神戸経済ニュース

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丸善書店、ジュンク堂を吸収合併 神戸から大型書店の本社消える

 大日本印刷の子会社で書店事業持ち株会社である丸善CHIホールディングスは24日、傘下の書店2社を合併させると発表した。2015年2月1日付で丸善書店(東京都中央区)がジュンク堂書店神戸市中央区)を吸収合併し、新社名は「丸善ジュンク堂書店」にする。ジュンク堂書店の店舗は存続するが、法人としてのジュンク堂書店は同日付けで解散し、神戸から大型書店の本社が消える形になる。

 ジュンク堂は1967年に元町本通りに大同書房として設立。76年に三宮センター街への移転に際し、創業者で現在も社長を務める工藤恭孝氏の父親である工藤淳氏の名前を「じゅん・くどう」と読んだところからジュンク堂の店名を付けたとの逸話がある。1982年に神戸市中央区の複合ビル「サンパル」に専門書の大型店を出店し、専門書に強い書店のブランドイメージを確立した。

 一方でインターネットの普及などを背景として紙による出版市場は96年をピークに縮小している。稼ぎ頭だった雑誌に加え、特に専門書は衰退が著しいことなどもあり、2008年には大日印の傘下入りを決めた。11年には大日印が新たに設立した持ち株会社丸善CHIの傘下に収まっていた。

 丸善とは、既に共通の書籍通販サイトやポイントカードで提携をしていることもあり、今回の合併は大日印が傘下の書店で運営の効率化を一段と進めた形だ。社長は現在の丸善書店でも社長を務める工藤恭孝氏が引き続き務める。「本の品揃えにこだわる」「図書館より図書館らしい店作り」といった経営方針は、ひとまず変わらないとみられる。

 2014年1月期の実績で両社を合計すると売上高717億円、営業利益2億7700万円の規模になる。ジュンク堂は同期に営業赤字を計上していた。規模は大きくなるが、もともと利益率が低い書籍事業で、今後はさらなる市場の縮小が見込まれる。品揃えだけに着目すると売り場面積の制約を受けないネット書店に太刀打ちするのは難しい。厳しい舵取りを迫られる中、ブランドイメージの強い大型書店2社の再編は、事業の再定義を余儀なくされている書店業界の象徴ともいえそうだ。

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