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カルナバイオなど、大腸がん幹細胞を抑制する化合物を開発 医薬品の実用化目指す

 国立がん研究センター理化学研究所カルナバイオサイエンスの研究グループは大腸がんの元になる細胞「がん幹細胞」の動きを封じ込める、新たな化合物「NCB-0846」を開発したと26日に発表した。大腸がんを根絶やしにし、再発を防ぐ効果があるという。研究グループは既に臨床試験の前段階である非臨床試験に入っており、医薬品としての実用化を目指す。

 これまでの抗がん剤では大腸がんの腫瘍を小さくすることはできたが、がん幹細胞には効かず、がんが再発する原因になっていた。今回、研究グループが開発した物質は、大腸がんの発生に必要な情報伝達の経路を薬剤で邪魔することで、がん幹細胞が腫瘍(しゅよう)を作れなくなることをマウスの実験で確認した。

 大腸がんの症例の90%では遺伝子の異常が発生しており、これががん幹細胞の増殖維持に必須であることは知られていたが、これを抑制する薬剤は開発されていなかった。研究グループは産学協同で蓄積された化合物の中から、がん幹細胞の動き鈍くする物質を抽出したうえで、最終的に新たな化合物であるNCB-0846を創出。がん幹細胞の動きをこれまでにない強さで封じ込めることができた。(写真=国立がん研究センターなどの発表資料より)

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 国内では年間約5万人が大腸がんで死亡しており、治療は大きな課題。実用化されれば従来の抗がん剤が効かない患者にとっても、治療の機会につながる可能性がある。NCB-0846は口から投与することができるといい、飲み薬になる見込みがあるようだ。今回の研究成果は26日付で国際学術誌「Nature Communications」(電子版)に掲載した。

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