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神戸製鋼の新中期計画、利益額の目標盛らず 「3本柱」強化で資本効率改善

  神戸製鋼所は5日、2020年度(21年3月期)を最終年度とする新たな中期経営計画を発表した。売上高や利益の目標額を掲げず、16年3月期には1.1%程度に低下したとみられる総資産経常利益率(ROA)を5%以上に引き上げるのを目標とした。新たな3本柱に据えた素材系事業、機械系事業、電力事業の収益力をそれぞれ強化し、軌道に乗せるのを優先させた。

  素材系事業では主力の自動車向けに、排ガス規制の強化をにらんだ軽量化効果の高い素材を提供。超ハイテンと呼ばれる強度の高い高張力鋼やアルミ素材などの競争力を高める。成長の見込める航空機分野ではチタン、アルミ、マグネシウムなどの軽量素材で、機械加工、表面処理、塗装といった下工程への参入をにらんだ研究開発を続ける。

 コベルコ建機などの機械系事業は、中国事業の立て直しが課題。2カ所の拠点で生産能力を20%削減するほか、製缶材料など建機以外の製造にも取り組んで操業度を確保する。今月には北米でのパワーショベル工場が稼働し、2020年にはパワーショベルで世界シェア10%、建機で世界10位入りを目指す。

 電力事業は神戸市で発電中の140万キロワットに加え、19年度以降に予定する栃木県真岡市と新たに追加で建設する神戸市での発電所計画を着実に進める。

 有利子負債は引き続き自己資本の範囲内に抑える計画だ。素材系と機械系の事業で投資に踏み切る場合は、原則としてそれぞれの事業が稼ぎ出すキャッシュフローを原資にする。ただ自動車分野を中心とした成長投資に1000億円を投入する計画で、資産売却や海外子会社の資金効率向上による運転資金の改善などで最大1000億円の現金を捻出できるか検討する。財務の健全性を維持したままで、成長投資を継続する方針だ。

 株主に対しては継続的な配当で利益を分配する。連結配当性向は15〜25%で推移させる計画とした。16年3月期は連結最終赤字を見込んでおり、同期末の配当は見送った。

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