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ノーリツ、今期一転20億円の最終赤字に のれん代の償却などで

 ノーリツは9日、2015年12月期の連結最終損益が20億円の赤字(前年同期は34億円の黒字)になりそうだと発表した。従来予想である41億円の黒字から、一転の赤字見通しになった。中国の子会社で、のれん代を償却する必要に迫られたほか、厨房(ちゅうぼう)分野と住設システム分野の事業価値を見直し、減損損失を計上。2015年1〜9月期の連結決算に合計65億円の特別損失を計上したのが響く。

 売上高は3%増の2250億円、営業利益は19%減の60億円になる見通しを据え置いた。7〜9月でみると主力の温水空調分野が回復して売上高は前年同期比で増えているという。計画通り付加価値の高い商品や、中国子会社での販管費削減を進めることで当初予想の変更は必要ないと判断した。

 同時に発表した2015年1〜9月期の連結決算は、最終損益が48億円の赤字(前年同期は19億円の黒字)だった。1〜6月の国内外での需要低迷が響いた。売上高は前年同期比1%増の1572億円、営業利益は66%減の12億円だった。

 今期の赤字転落見通しを反映して、11日の東京株式市場でノーリツ株は大幅に下落した。終値は前日比177円安の1802円だった。値下がり率は8.94%と、東証第1部で3位になった。

 

◆「のれん代」

 のれん代とは、企業を買収する際の買収額と、実際の資産価値との差額のこと。株式の買い取りなどかかった買収額の総額が、査定に基づく実際の資産価値を上回れば、差額をのれん代(買収によって獲得した営業権)として貸借対照表(バランスシート=BS)に計上する。しかし買収した企業が期待通りの収益を上げない場合は、監査法人などが「のれん」の価値に見合わない出費(買収)だったとして、資産計上するのれんの減額(償却)を求める。BSに計上するのれんを減額するために、帳簿上は損失計上することから損益に影響する。事業の減損処理も意味合いとしては似通っており、のれん代の償却も減損処理も実際には現金の拠出をともなわない。

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