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国交省、タクシー料金の現状追認 神戸などで「安い」運賃容認

 国土交通省は21日、京阪神と札幌、青森、大津、徳島の7地域でタクシーの「公定幅運賃」の下限を引き下げると発表した。「神戸市域交通圏」では小型車で630〜680円としていた初乗り(1.8キロメートル)運賃を610〜680円にするなど、主な車種で10〜40円を引き下げる。規制価格を下回る運賃を事実上容認する「値下げ」にあたり、国がタクシー運賃市況の現状を追認した形だ。

 神戸市域交通圏は阪神間や神戸市、明石市の9市町と大阪国際(伊丹)空港。新運賃は11月20日から適用するとしている。だが今回の措置を機に、大幅な値下げに踏み切るタクシー会社などが相次ぐ可能性は低いとの見方が多い。

 国交省は全国を98ブロックの交通圏に分割し、それぞれの域内でタクシー料金を決めている。過当競争を回避するために2014年4月から、国が示した価格帯「公定幅運賃」を下回る運賃を禁止するなど価格規制を強化した。だが国がタクシー会社に値上げを強制しないよう命じる判決が相次いだことから、国が柔軟な制度運用に方針転換した。

 6月30日時点では7地域に加え名古屋、知多、湖南、福岡の11地域で運賃が公定幅運賃を下回るタクシー会社があった。このうち国が公定幅運賃の値下げを実施した地域は現状追認、それ以外の地域では安い運賃を申請したタクシー会社の経営状況などを監視しながら運賃を認可する14年の規制強化以前の方式に事実上戻った形だ。

 2002年にタクシーの参入規制が大幅に緩和されて以来、タクシーの台数増や価格の多様化などで特に都市部でタクシーの利便性が高まった。半面、既存のタクシー会社の間で過当競争への不満が高まり、14年に再び規制が強化された経緯がある。今回の公定幅運賃の改定は、合理性を欠く国の市場介入が機能しづらいことを象徴的に示した可能性もある。

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