神戸経済ニュース

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(寄稿)[神戸鳥瞰虫探し]風見鶏は男性を向く? 男女別の人口増減より

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 7月の神戸市推計人口が153.7万人になった。2011年から13年にかけては154万人台で推移していたので増勢は一時の勢いを失っている。神戸市人口の増減で影響が大きいのは転出入数の社会的要因。女性がリードしていたこの増加要因にブレーキがかかっている。

 2000年には神戸市の女性人口は、男性を9%程度上回っていた。それが、いまでは12%近く上回っている。神戸市の人口は増加局面で、女性の移入が支えになっていた。グラフは男女別の人口増減で18カ月移動平均をとったものだ。出生や死去といった自然増減の傾向は男女で大きな違いが出ると考えにくいので、これまでほぼ一貫して男性よりも女性の転入数が多かったことが分かる。

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 女性の移入増加は、定着すれば将来的には人口の自然増にも繋がりやすい。人口減少社会にあっては、女性が活躍し、住みやすい街となるモデルにもなりそうな動きを神戸は見せていた。
 人口は伸び悩み始めたものの、世帯数の増勢は止まっていない。男性人口と世帯数が肩を並べるのも時間の問題かも知れない。人口統計で単純に人口を世帯数で割ると、7月の平均は2.1人。2000年には2.4人だった。家計調査で見ても、2.9人から2.7人へ減っている。単身世帯の増加が世帯数を底上げしている。その単身世帯増を牽引していたのは女性の移入。女性が魅力を抱く点に神戸の特徴があったとも言える。
 だが、直近の統計は新たな傾向を示し始めている。社会増減で女性が出超のまま、男性は入超に転じてきている。女性が、より魅力ある地域を見出だす一方で、男性は神戸の女性か仕事に魅力を感じて流入が増加する形になってきた。
 平均賃金は女性よりも男性の方が高いので、勤労者男性の増加は消費支出実額の減少には歯止め効果を生むかも知れない。男人口の増加自体は悪い事ではない。しかし、それ以上に女性を引き留められなくなってきた都市の吸引力失墜の分析はもっと大事だろう。(候鳥)

=随時掲載します

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