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神戸経済ニュース

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(寄稿)[神戸鳥瞰虫探し]もともと捉えられていないインバウンド需要どこに・・・

解説・評論

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 百貨店売上が伸び悩んできた。20日に日本百貨店協会が発表した6月の売上高は九州以外の全域で前年割れだった。最も大きかったのは大阪の5.7%減、神戸の3.8%減はこれに次いで大きい。

 テロのニュースが映し出す映像には、閑散とした観光地の風景が少なくない。見せたい画像だから当然かもしれない。ただ、それによって世界の観光客が減っている訳ではない。危険地帯よりも安全で、観光客は安心度が高い観光地へ流れ込むだけだ。

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 100年前の日本は、先進国の水準から見れば宿泊施設が未整備の途上国だった。それでも観光客が押し寄せ、ホテルが不足する状態に陥っていた。西洋式ホテル産業が芽生えるきっかけとなったのは欧州での局地的な政情不安だった。

 1916年の訪日外国人数は1.6万人だった。今年は6月までの半年で1171万人。100年で1000倍にまで膨らんだ。増加速度は増している。紛争地の増加と安全安心地の集中を象徴している。もっとも、テロや紛争地の拡散が地球規模になれば前提が違ってくる。第一次世界大戦勃発時にも訪日観光客は激減した。

 海港が海外との玄関口だった時代とは異なって現在では空港が主力。それでも、富裕層と高齢層の絶対数増加で日常を愉(たのし)みながらの船旅人気も衰えていない。我が国港湾へのクルーズ船寄港数の増加がこれを物語っている。

 寄港船舶数の増加ぶりでは博多が群を抜いている。世界に名を馳せたこともある神戸は足元にも及ばない。しかも、博多には外国港湾発の外国船籍船が多い。他方で神戸は、内国船籍で海外へ船客を運ぶ便が主力。貨物だけではなく船客においても神戸は輸出重点の港湾になっている。

 グラフは海外からの誘客に成功しているかに見える福岡ですら、百貨店がインバウンド客を十分に取り込めていない様子を示す。百貨店売上高の訪日客依存度は、実は2%にすぎない。訪日客数は過去最高を毎月更新し、インバウンド需要に株価は湧いたが、なおも主力の売上高は内需依存というのが百貨店の実態だ。クルーズ船寄港数と売上高の連動性はどうすれば高まるのか、百貨店業界は市場戦略に苦しんでいる。「輸出港」である神戸はその先頭に居る。(侯鳥)

=随時掲載します

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