神戸経済ニュース

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川重、ブラジル事業で221億円の損失を計上 今期予想は下方修正へ

 川崎重工業は14日、ブラジルで現地企業との合弁で実施している造船事業について221億円の損失を計上すると発表した。合弁で設立したブラジル造船会社「エンセアーダ」が建造中のドリルシップ(資源開発船)について、発注元から入金が止まって1年以上が経過したため、貸倒引当金などを積み立てる。川重は2016年3月期の連結業績予想を「下方修正する見込み」としている。

 川重はブラジルの建設会社オデブレヒトなどが設立したエンセアーダに30%出資。そのうえでドリルシップ2隻について、船体の下請け建造に加え、アジマスラスタと呼ばれる推進装置を供給する契約をエンセアーダと結んだ。だがブラジル国営石油会社ペトロブラスの汚職事件の余波で発注元からの入金が14年11月に停止、その後エンセアーダの資金繰りが悪化した。

 入金が止まってから1年が過ぎた昨年11月、川重はエンセアーダと協議してドリルシップの工事を中断。15年4〜12月期の連結決算にエンセアーダ向け棚卸資産(建造中の船舶)の評価損192億円を特別損失として、エンセアーダの株式と貸付金の評価損28億円を営業外費用として、それぞれ計上することを決めたという。

 川重は現在、16年3月期の業績予想について「従来見通しを下方修正する見込みですが、詳細については現在精査中」(発表資料)としている。新たな今期の予想は1月28日に発表を予定する15年4〜12月期決算と同時に開示する予定だ。16年3月期末に予定する1株当たり7円の配当計画は維持する。

 併せて川重は、船舶海洋カンパニープレジデントで代表権を持っていた村上彰男常務が、代表権のない取締役に2月1日付で降格する人事を発表した。船舶海洋カンパニーのプレジデントも交代し、後任に餅田義典執行役員が就任。同氏は同日付で常務執行役員に昇格する。

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