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神戸経済ニュース

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(解説)「山遊び」復権するか 低迷する六甲・摩耶の観光客数

解説・評論 観光

 まずはクイズを1つ。次のうち、以前の摩耶山にあった施設は何でしょう?

(1)遊園地 (2)墓地 (3)プール

 正解は(1)の遊園地だ。「奥摩耶遊園地」は1955年に開業し、56年にはジェットコースターなど乗り物も完成した。摩耶ロープウェーの開業もあって開園当初は人気を博したが、自家用車の普及などに合わせて利用者が減少。70年代にかけて閉園したという。六甲・摩耶の観光客数はすでにこの時点で天井を打っていたことが分かる。

 1995年(平成7年)の阪神大震災以降、神戸の「山遊び」の需要はさらに低迷する。六甲、摩耶のケーブルカーは何年もの間に渡って運休、廃止も検討された。六甲有馬ロープウェーの表六甲線(表六甲〜六甲山上カンツリー)は2004年に休止されたままだ。バブル経済の崩壊を受けた1990年台後半以降には、企業が保養施設などを相次いで手離し、空き家が増えたことが背景にあるとの指摘もある。神戸市が発表した2014年の観光客数によると、六甲・摩耶エリアは前年比9%減の193万人と大きく減った。

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 ただ、最近になって、山遊びを見直す動きも出てきた。摩耶山上につながるケーブルカーとロープウェーの「まやビューライン」が存続すると決まり、「摩耶山再生の会」が摩耶山の将来構想を発表したのが2013年4月。その後、じわじわと「テコ入れ」が広がりつつある。

 9月12日から六甲山上で開く現代美術の祭典「六甲ミーツ・アート~芸術散歩2015」の会場に、2007年に閉鎖した旧六甲オリエンタルホテル (神戸市灘区六甲山町)が選ばれた。ホテルに併設する安藤忠雄氏設計の「風の教会」の内部にも作品を展示するといい、同教会は8年ぶりに一般公開される。 六甲・摩耶には今なお観光資源が眠っていることを改めて示した形だ。

  8月22日には、神戸を拠点に活動するロックバンドのワタナベフラワーなどが主催した音楽イベント「神戸ストラット」を摩耶山上の掬星台で開催。神戸が拠点のミュージシャンら11組が熱演した。ミュージシャン自らがイベントを企画・運営するのは極めて珍しい。実は冒頭のクイズは、ラジオパーソナリティで構成するユニット「Radimoe」が神戸ストラットで、来場者向けに出題したのと同じ趣旨だ。

 ワタナベフラワーのボーカル、クマガイタツロウさんは「神戸には海だけではなく山もあることを知ってほしい」などとラジオなどを通じて語りかけ、イベントへの参加を促した。六甲ケーブルの山上駅と、まやロープウェーの山上駅を結ぶ六甲摩耶スカイシャトルバスと、まやビューラインは神戸ストラットのために運転本数を増便。イベントに協力した。(写真は来場者にゴミの持ち帰りなどを呼びかけるクマガイタツロウさん)

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 神戸市の久元喜造市長は、まやビューラインを期間限定で無料にする社会実験を計画したが、実現しなかったと明らかにした。民間の交通機関から「民業圧迫」との声が出たためという。だとすると、神戸市が計画した8月下旬よりも、夏休みに入った直後の7月下旬や夏休み前に実施してはどうか。夏休みの本番前に話題を提供することで、本番の8月にかけて六甲ケーブルや、阪急六甲駅から六甲山上に向かうバスも恩恵を受けられるだろう。

 摩耶山は江戸時代から、全国に聞こえた霊場だった。山頂付近にある摩耶山天上寺への参詣が有馬温泉での湯治などと結びつき、摩耶山は観光名所になっ た。時代は下って、1903年(明治36年)には日本で初めてのゴルフ場が六甲山に完成。明治以降は神戸に移り住んだ外国人も加わり、六甲・摩耶は古くから神戸の裏山として「山遊び」に活用された。表六甲・裏六甲ドライブウェーがつながり、神戸市街から六甲山上に上がり有馬へと下るルートのバスが開通した のも、1929年(昭和4年)と意外に古い。

  摩耶ケーブルは今年、開業90周年の節目を迎えた。摩耶ロープウェーは開業60周年、六甲有馬ロープウェーは開業45周年だ。阪神間の強みである充実した公共交通は、六甲・摩耶にもまた広がっている。既存のインフラを生かすことで、低コストでの観光資源の再開発も期待できそうだ。はたして摩耶ケーブルの開業100周年に目がけて神戸の山遊びは復権するだろうか。

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